偏差値って何?——20人の例から、大学選びまで

偏差値の正しい使い方を私の解釈でお伝えします。

COCORO JOURNAL

偏差値の仕組み

偏差値は、テストの点数そのものではなく、「同じテストを受けた人たちの中で、自分がどのあたりにいるか」を表す数字です。平均点を取れば偏差値50。

式にするとこうなります。 偏差値 = 50 +10 ×(自分の点数 − 平均点)÷ ばらつき(標準偏差)

たとえば20人がテストを受けて、点数が40点〜88点に散らばり、平均が62.05点、ばらつきが12.4だったとします。この場合、75点を取った人の偏差値は

50 + 10 ×(75 − 62.05)÷ 12.4 ≈ 60.5

になります。20人中では上から4番目、つまり上位20%あたりです。同じ80点でも、平均が高いテストと低いテストでは偏差値は変わります。偏差値は「絶対的な出来」ではなく、「その集団の中での相対的な位置」を表しているだけです。

中学受験・高校受験・大学受験で、同じ偏差値60でも意味が違う。

「20人」を「受験する人だけ20人」に置き換えて考えると、この「20人の集め方(母集団)」自体が、受験の種類によって全然違うことがわかります。

中学受験 :受験するのは小学生全体のうち意欲のある層に絞られた約20%だけ。すでに上位層に絞られた集団の中でさらに上位に入る必要があるので、絶対的な学力としては高い。

高校受験 :ほぼ全員が受験するので、母集団は学年のほぼ全体。同じ偏差値60でも、対象が「ほぼ全員」なぶん、絶対的な学力としては中学受験より下がる。

大学受験 :大学進学を希望する層(学年の5〜6割程度)だけが対象。中学受験ほど絞られてはいないが、高校受験よりは絞られている。

そのため、「同じ偏差値60でも、中学受験>大学受験>高校受験の順に、実際の学力としては高い」と言われます。 大学受験の中でも、模試の主催者によって数字が変わる。

実例 慶應義塾大学 法学部(法律学科)を、2つの模試で比べるとこうなります。

主催/ 偏差値/ 母集団の特徴 河合塾(全統模試) 67.5 大学受験にかなり本気の層が中心。母集団が絞られている ベネッセ(進研模試) 81 進学校以外も含む幅広い高校生が、学校単位で受験する

同じ大学の同じ学科なのに、13.5も差があります。どちらかが間違っているわけではなく、単純に「ものさし」が違うだけです。だから偏差値を大学選びに使うときは、自分が受けている模試と同じ主催者の一覧で比べる必要があります。河合塾の模試を受けているのに、ベネッセの一覧と自分の偏差値を照らし合わせても、正しい位置は見えません。

もう2つ、見落とされやすい要素があります。

科目数の違い :3科目型の入試と、5科目・7科目型の入試とでは、同じ偏差値でも意味合いが変わります。得意科目が少数に偏っている人は、科目数の少ない入試の方が偏差値が高く出やすい傾向があります。科目数が違う入試方式同士を、数字だけで単純比較するのは危険です。

「入るまで」の難易度と「入った後」の難易度は別 :偏差値が示しているのは、あくまで「合格するまでの相対的な難しさ」です。入学後のカリキュラムが厳しいかどうか、卒業や進級がどれだけ大変かは、偏差値には反映されていません。偏差値が高い=入学後も安泰、というわけではありません。

まとめ:偏差値はどう使うべきか

ここまでを踏まえると、偏差値は「合否を決める絶対的な基準」ではなく、次の2つを把握するための道具として使うのが実態に合っていると思います。

自分が今、その母集団の中でどのあたりにいるか(相対的な立ち位置の把握)

志望する層に届くには、どのくらいの伸びしろが必要か(残りの距離感の把握)

一つの数字だけを見て「この大学は無理/これなら余裕」と決めつけるのではなく、「どの模試の、どの母集団の中での数字なのか」「科目数や入試方式は志望校と同じ条件か」を確認した上で、今の自分の位置と、目指す位置との距離を測るために使う。それくらいの距離感で付き合うのが、偏差値との健全な付き合い方だと思います。

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