「間違っている」んじゃなくて、「違う」だけ

「間違っている」わけじゃない、ただ違うだけ ―レベル別・映画にもなった3冊

COCORO JOURNAL

子どもが「間違えるのが怖い」と感じるとき、それは計算ドリルの1問だけの話じゃないことが多い気がしています。「みんなと同じようにできない」「変なことを言ってしまった」——そういう小さな違和感の積み重ねが、いつの間にか「自分は間違っている」という感覚に変わっていく。今回は、そんな子どもたちにそっと寄り添ってくれる3冊を、年齢の目安つきで選びました。全部、映画やアニメになった作品です。

絵本〜低学年向け|『えんとつ町のプペル』(にしのあきひろ)

煙で空が覆われていて、誰も星を見たことがない町。「星なんてあるわけない」と信じる大人たちの中で、星の存在を信じる少年ルビッチは「頭がおかしい」と笑われてしまいます。そこに現れるのが、ゴミでできた、みんなから気味悪がられる存在・プペル。 正直に言うと、初めて読んだとき「派手な話だな」と思ったんです。でも読み返すたびに、ルビッチとプペルの関係が刺さってくる。二人とも「間違っている」のではなく、ただ周りと違うことを信じているだけなんですよね。子どもに「変なこと言ってない?」と聞かれたとき、この本のページを一緒に開くと、言葉で説得するより早く伝わる気がします。2020年に劇場アニメ化されているので、読んだ後に映画も、という流れも作りやすいです。

小学校中学年〜向け|『窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子)

黒柳徹子さん自身の小学生時代がもとになったお話。授業中に立ち歩く、先生の質問にとんちんかんな答えを返す——普通の学校なら「困った子」「間違ったことをする子」とされていたであろうトットちゃんを、転校先の校長先生はまるごと受け止めます。 この本のいいところは、「トットちゃんが正しかった」と言い切らないところだと思っています。むしろ「間違っている・正しい」の物差し自体を、大人の側が一旦脇に置いてくれる。子ども本人よりも、読んでいる親のほうが救われる瞬間がある本かもしれません。2023年にアニメ映画化もされていて、原作は世界的なロングセラーなので、学校に対して身構えている子にも、逆に安心しきっている子にも、静かに効く一冊です。

小学校高学年〜向け(英語)| Ramona the Pest (Beverly Cleary)

アメリカの児童文学の定番、ラモーナ・クインビーが幼稚園に通い始める物語。良かれと思ってやったことが裏目に出たり、先生の言葉を字義通りに受け取って場違いな行動をしてしまったり——ラモーナは次から次へと「やらかす」のですが、本人はいたって大まじめ。 英語の児童書に慣れていない子でも、ラモーナの一生懸命さに笑ってしまうシリーズだと思います。「間違えた」瞬間そのものより、「一生懸命やった結果、周りとズレてしまった」ときの気まずさとそこからの立ち直り方を、ユーモアたっぷりに見せてくれるのが好きなところです。2010年に Ramona and Beezus として映画化もされているので、英語のハードルが少し高いと感じる子には、先に映画から入るのもおすすめです。

まとめ

3冊に共通しているのは、「間違いを正す」話ではなく、「間違いだと決めつけていたのは誰だったのか」を問い直す話だということです。子ども本人に読ませるだけでなく、親自身が「うちの子、周りと違うことをしている」と感じたときに開いてみる本としても、この3冊はおすすめしたいです。

この記事に関連するコース

関連コース:A3

読書の基礎力を身につけるために、漢字も混ぜつつ、読解力を向上させる講座です。

コースを見る
← 記事一覧へ戻る